※リーバル→夢主です。叶わない恋です。
※夢主の名前変換はありません。
※リーバルにリト族の婚約者がいます。(夢主が帰還後にリト族の英雄ということで婚約者が出来たという設定です)
上記の設定に抵抗がある方は読まない方が良いです。
大丈夫!な方は下へどうぞ。
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ハイラル城の裏手から歌が聞こえる。
異国の言葉なのだろうか、意味はわからないけれど、その旋律と声に込められた『想い』が切なくてどこか心を揺さぶられるようだと兵士たちの間で話題になっていたのを耳にしたのはつい最近のことだった。
歌い手が誰なのか興味を持った兵士たちが休憩時間中に声の主を探しに行ったとも聞いたけれど、ちょうど兵士たちが自由になる時間を避けているのだろうか、絶妙なタイミングで声が聞こえなくなるのだという。
「と、いう話を聞いたんだけどさ。君だよね」
「リーバル?あれ、どうしたの?今日は英傑の集まりは特になかったよね」
「僕が先に質問してるんだけど」
「ああ、ごめん。何だっけ?」
「だから、歌だよ。ハイラルに響く歌声。あれ、君のことだろ」
「んー。どうだろう?私なのかなぁ?」
「君以外にいないとおもうけどねぇ。こんな城の裏手のわかりにくい尖塔の屋根にわざわざ登って歌ってる物好きなんて。歌い手がこんな場所にいるなら、兵士たちの動きも丸見えだし、見つけられるのはこの僕ぐらいしかいないのも当然だね」
「ちっ……誤魔化せないか」
「僕に隠し事をしようなんていい度胸だね。まぁいいや。ほら、歌ってみなよ」
「えぇー……美声で通ってるリト族の前で?」
「ほら早く。僕も暇じゃ無いんだ」
「勝手に来ておいてこの横暴な発言!いいでしょう。歌ってあげましょう。リーバルくんのためにお姉さんが君の希望を叶えてあげましょう。だけど聞いた後で文句言わないでよ」
「それは聞いてからだね」
「うっわ、歌いづらっ!……まぁいいや。えー、ゴホン。じゃぁ歌いまーす」
すぅっと息を吸った後、紡ぎ出された旋律。
緊張しているのか少し固いけれど、悪くない。
悪く無いどころか、驚いた。
言葉はわからないけど、心、いや、魂に響くような歌声に、知らず聞き惚れていた。
ただ……そこに込められた『想い』は、誰に対してのものだろうか。
「……っと、終わり。リト族的にアリでしたか?」
「ん……まぁ、悪く無かったよ。ところで、何て歌ってたんだい?」
「え?」
「異国の言葉だろ?それ。意味がわからなかった」
「ああ……そっか。うっかり当たり前に英単語が話し言葉に入ってるから解る人もいるかと思ってた。そうだね、この歌はもう会えなくなった人、別れた後に、愛しいって気づいた人のことを『君は確かにそこにいたよね』って思いを馳せてる曲だよ。もう会えない人のことを想ってるから、メロディーは切ないんだけどね。好きなんだ」
「そうかい」
少し寂しそうに笑う君が何故か癪に触る。
歌、だけじゃなくて君自身の『想い』も、込められてるってことにこの僕が気づかないとでも?
「君はなかなか本心を見せないね。未来から来たってことはベラベラ話したらしいけど、へらっとして本当のところは隠してる。君は……君に弓の使い方を教えたっていう男のことを『想って』歌ってたんじゃないのかい?」
「うぇっ?」
「ほら、図星だ」
「うー……まぁ、会えなくて寂しいのはあるけど、どちらかと言うとこの曲は男の子から女の子に向けた曲だよ?」
「ふぅん……まあいい。その曲。僕に歌詞を教えてくれよ」
「?どういう心境の変化?」
「どうだっていいだろ。ただ、思いの外、いい旋律だったからね。歌を愛するリト族としては異国語の歌を知ってるっていうのもいいかと思ったのさ。君は僕から弓の手ほどきを受けてるんだから、お返しがあってもいいんじゃないか?」
「弓の扱いはリーバル君が絡んでくるようになって兵士の皆さんに注目されるようになっちゃったからでしょ。まぁ……確かに以前よりも捌き方が上手くなった気がするけど」
「『気がする』じゃなくて、上手くなってるんだよ。何たって師匠がいいからね。でもまだまだだけど」
「んなっ!上げておいて落とす……!」
「まぁそれは置いておいて。これから毎週、この時間に僕のために時間をとること。異論はないよね?」
「はぁ……リーバルくんは俺様だなぁ。はいはい。いいですよ。リーバル君に鍛えてもらってるのは事実だしね。お礼に私が知っている歌を教えてあげる」
「ふん。最初から素直に了承してればいいんだよ」
「こら。生意気な口の聞き方!いい加減にしないと羽をむしって羽毛布団にしちゃうよ?」
笑顔なのにピンッと張り詰める殺気。
これも癪ではあるけど……背中を取られたことがあるから、君が本気でやろうと思えばやれるんだろうね。
「(ちっ)……悪かったよ」
「ふふ。素直でよろしい。じゃぁ、さっそく最初のフレーズから教えるね。最初は……」
***
「あら、リーバル様。貴方でしたか」
「……何か僕に用かい?」
「用があったわけではないのですが……最近、メドーの方から歌が聞こえると村の中で話題になっていたもので。興味本位で誰が歌っているのか見に来てみたんです」
「ふぅん。君も暇だね。夜になったら僕らリトは夜目が効かないから、こんな時間に動くヤツがいるとは思っていなかったよ」
「ふふ。それはリーバル様も同じでしょう?……あの方のことを想っていらしたのですね」
「……うるさいよ」
「照れなくとも宜しいのに。……元気にされていますかね」
「さぁね。でもきっと、彼女のことだから賑やかにやってるんじゃないか」
「そうですね。きっと」
「君は嫌じゃないのかい?」
「何がですか?」
「……婚約者が他の女のことを想ってるなんて」
「正直に言えば妬けますが、それも含めてリーバル様のことをお慕いしていますので」
「君も物好きだね」
「まぁ、否定は致しません」
「……多分、まだ時間がかかるよ」
「はい。わかっていますよ」